| Message du Casse-Croûte キャス・クルートからのメッセージ 【10月23日】 肌寒い朝を迎え、覆う雲の空を見上げるたびに、 欧州の石で造られた街並みを思い返します。 時を経ても残る建築物、街と同化したその姿は美しいものですね。 〜『残る仕事』と『数分の料理』〜 どの国、どの街を歩いていても、 レストランのある道筋には、人が集まり、素敵なにぎわいがあります。 それは人も店も街の風景になっていて、特にヨーロッパの街が大好きな私には、 それがその街の味と共にイメージとなって強く残っています。 レストランの料理は、 お客様に美味しく召し上がっていただくためにつくるもの... 食べ終わるまでのほんの数分間が成果としてテーブルにあります。 丁寧に準備し調理しているときの想いは、きれいになったお皿が戻ってきた時に その結果として受け取れてとても嬉しいものです。 そしてその繰り返しが日々の糧になり、明日の楽しみにもつながっています。 一日にランチとディナーを営業し、シャッターを閉めるときには 目に見えて残るものは少なく、残っているものは、 つくり重ねた一皿ひと皿の記憶です。 以前は、建築や絵画のように 「形に残るもの」にあこがれた時もありましたが、 お店を開き、「数分しか留まらない料理」を積み重ねることで、 【レストラン】という街の風景をつくれるという喜びを知ることになりました。 多くの料理人がお店を開くという【夢】を持つのは、何かを形にして、 留めておきたいという強い思いがあるからなのかも知れません。 後から見たり、味わったりできない料理ですが、 皆様がキャスで過ごしていただいた時が楽しい記憶となって しっかりと残っていただけているのなら、 私の仕事が残っている事となりますし、 それが一番の大きな喜びとなっています.... 【10月16日】 秋晴れの少ないこの頃、いつの間にか季節が深まってきているようです。 厳しかった残暑が遠い昔のように思われてしまいます。 先日からお話しているように豊富な食材が到着するたびに 「秋」を実感するのですが、その中でも特にといえば... フランスから届く森の恵み、茸たちです。 ジロル、プルロット、ピエブルー.... 贅沢に飛行機に乗ってやってきます。もちろんフレッシュで。 土や枯れ草も少しまとったまま到着する風情は、まさに 「フランスからの秋の贈り物」 水洗いをしてしまうと、その大事な香りや風味を逃してしまいますので 一つ一つ丁寧に、刷毛で土ほこりを落とし、布巾で拭っていきます。 茶色や薄いグレー、白、秋の恵みを感じさせてくれる色々。 フレッシュのままでも独特の香りがありますが 火を入れ調理をしていくとその風味とともに何倍にも広がって キッチンの中だけではなくお店全体に行き渡るほどです。 この「秋の贈り物」たちは、ディナーのキャス・クルートコースの <オードブル>の一品としてお楽しみいただくことができます。 『フランス産茸のフリカッセ、ヴォ・ロー・ヴァンに乗せて』 キャス定番のシャルキュトリープレゼントもいよいよ今週一杯。 深まる秋の味覚をどうぞキャスのディナーで満喫なさって下さい。 【10月9日】 雨の一日、鮮やかな傘で街は色づいています。 季節の装いで街の雰囲気も変わりますが、 傘の色で街が変わるのも、楽しみの一つです。 〜『キャスの定番が出来た時』〜 お店を開くこと・・・ それはごく普通には料理人やサービスにレストランに携わるものとして 夢となる場合もあるでしょうし、目標として日々頑張れることでもあるでしょう。 でも私は夢でも目標でも無かった...というとなんだかつまらないかもしれませんが、 季節ごとのメニューや特別なコース料理を考える時と、そんなに変わらない思考で 【こんな店あったらいいね!絶対行く!】からでした。 キャス・クルートのコンセプトは自分が積み上げたキャリアと 同じではありませんでしたから、その【あったらうれしいお店】に無くてはならない 軸になる料理のレシピは、自分でつくらねばなりませんでした。 【テリーヌ・リエット・レバームース】この三品の試作をしたのが開店2週間前。 お店の内装のイメージができあがり、なんとなくですが、そこで自分が食事を している絵が想像できる...それくらいの時だったと思います。 お店のイメージの焦点がしっかりしていたのでしょう、 材料を目の前にして、量りながらペンを片手に持ち 数字を書き込み、手順を慎重に進めていった事をよく覚えています。 この店の料理のつくり手である自分ではありますが、イメージの中で仲間と囲み「これこれ!これがフランスだよね・・」などと言いながら・・・そう思えるものにしたいという 強くはっきりした想いがあったからでしょう・・・三品の試作は一発でクリア、 イメージどおりのものになりました。 以来14年以上・・・変わらずキャスの定番としてワインとパンと共に、 フランスの食を感じていただけていれば光栄です。。。。 【10月2日】 冷たい雨に季節が2か月分は早送りされたように感じます。 皆様、風邪などお召しになられていませんでしょうか。 少しの肌寒さとともに、私たちが毎年感じる期待.... 食材の豊富な季節の到来です。 それとともに人々の集う機会も増えて、フレンチレストランにとって より「レストランらしい」季節が深まっていきます。 そんな中、ご友人との久々の再会の場として、 キャス・クルートをお選び頂いたお客様のテーブルでお見かけする光景... 「ここに戻ってくると、やっぱりこれを食べないと」と 定番のシャルキュトリー(テリーヌの盛合せ)でお食事がスタート。 「たしか10年前もこれを一緒に食べたよね」 「その頃に比べると二人とも....」と弾んでいく会話に この店が10年以上続いていることを改めて実感しながら、私たち自身も 古くからの友人を迎えられたような少し幸せな気分をいただけます。 【9月18日】 気温と湿度が高い毎日です、秋らしい気候はまだ先になりそうですね。 暦と生活が結びつかない中で、秋色の装いを見かけると、 ふと和む瞬間にからだが覚えている秋を感じます.... > 私の少ない経験からですが、秋に訪れた国々を思い返す時... その陽射しや、空気、自然の中の色や形の違いが表れてきますが、 やはり《食べ物》が真っ先に浮かぶのは食いしん坊の証かも知れません。 今度の秋メニューは、まず第一に素材を思い浮かべ、それから 数あるフランスの地方に思いを馳せてつくりあげたものです。 これはロワール地方...、これはノルマンディー地方...、 こういうのはアルザスかな...などと訪れた時に写した その地方の写真にそのまま入ってもおかしくない料理になったと思います。 > テーマは【素材の存在感】です。 お皿の上の主たる素材の印象がそのまま記憶になるように、 合わせる香りや味もオーソドックスなものにしました。 特別な日の凝った料理、というより、私が欧州での生活で感じた、 《日常にある季節ごとの食をレストランで楽しむ》 という姿に立ち返るような内容になっていると思います。 ただ、そこはプロとして、ご家庭では出来ない、思いつかない フランスならではの組み合わせをお皿の一つずつに盛り込みますので、 発見する楽しさも一緒に味わっていただけるはず。 日本にある素材をフランスの地方性と重ね合わせた キャス・クルートの秋のメニュー、是非味わってください。 明日、ディナーからのスタートです。 【9月11日】 ご好評をいただきました キャス・クルート恒例「夏の元気メニュー」は 9日の日曜日で終了いたしました。 沢山のお客様にご来店いただき、御礼申し上げます。 本当にありがとうございました。 毎日秋の食材に目を向けながら、 組み合わせや味のポイントを考えての【秋メニュー】作成の日々、 このところの安定しない天気は、大切な私の「食欲」を、 うまく秋モードにしてくれず、苦心しています... 白いA3の紙に向かい、愛用のペンを持ち、 机には、エスコフェやラルース、レペルトワール、オイゲン・パウリや ロベール・ラフォンなどの数冊の原著・・・ それから拙いものですが、自分の仕事ノート。 何処何処にこういう料理がある.... 地方料理、家庭料理の温もりを感じるもの.... 素材を見てのインスピレーション.... そして自分の食の記憶.... でもやはり一番は、自分自身が食べたいものを料理にし、 皆さんに「これ美味しいから召し上がってみてください!」という 強い思いをその料理に乗せられるかどうかです。 「秋」という季節は毎年巡ってくるのですから、 ある程度決まっている中での葛藤のはずですが、 実はその年の事風や天候、夏をどう過ごすかによっても 自分の「食べたい!」が変わるのですから仕方がありません。 (もちろん自分の年齢的による嗜好の変化も関わってきます笑) その「食べたい!」を自問自答して探し、イメージを作り、 素材を決めて試作し、試食をし、素材の組み合わせやバランスを 微調整して「やっぱり美味しいね!」でやっとメニューになります。 あと少し....お待ちください! 来週には皆様に【秋】をお伝えできる予定です。 夏のメニューは今週限り。 名残り惜しむなかで、この季節の「一番」を作る心で.... 気持を乗せて今日にのぞみます。 どうぞお召し上がりにいらしてください。 【9月4日】 9月になり、朝の心地よい風とやわらかな陽射しが 季節が変わっていく事を感じさせてくれています。 季節を色で分けていくとすれば、やはり茶系になるのでしょうか。 食材も鮮やかでくっきりとしたものから、やわらかな「温」を感じる ものが増えてきているように思います。 今週9日(日)までの「夏の元気メニュー」、 メインのお肉を毎日扱っていて思うのは、素材の微妙な違いです。 業者さんから頂いた大きな塊をまず部位ごとにし、 それを一人前ごとにしていくのですが、 繊維の太さ、柔らかさやしなやかさ、脂の色や香りなどが違うのです。 茨城や栃木、静岡や山形....私たちの贅沢な注文に応えてくてようと 懸命に探してきてくれている業者さんに感謝です。 では調理するときにその素材の違いから何が変わるのか.... それは....全てです。 お肉の保存の仕方、冷蔵庫の中に置く位置、切り分ける時の包丁の入れ方、 焼き始めるときの肉の温度、フライパンのバターの量、焼く時間、 肉を動かすタイミング、焼き上げてからのお肉を休ませるときの温度、 切り分ける時の厚みや角度、そしてソースのバターの焦し方や アンチョビの量などなど。 そのたびに切り端を焼き、食べて、試して、調整をしています。 【素材との格闘】?とまではいきませんが、自分の技量の中の 様々な引き出しを使い、基本に忠実であったり、応用をしてみたり、 工夫をしなければ、簡単には勝たせてもらえない笑・・・ でもそれが楽しくて仕方がないのです。 そうやって出来上がるメインの一皿。たっぷりの野菜のオードブルと ブロッコリーの新たな美味しさの発見の冷たいスープ... その後にベストな肉を目指して...料理場で格闘しています。 期間があと少しにはなりましたが是非食べていただきたい一皿です 次へ |

